英雄と6人の王【プロローグ】
この世界には、とある伝説が存在する。それは、世界創世の物語でもある。
世界がまだ、6つ存在していた時代に、六王と呼ばれる王たちが六世界を支配していた。
竜王と呼ばれるものは竜界を。
鬼王と呼ばれるものは鬼界を。
魔王と呼ばれるものは魔界を。
獣王と呼ばれるものは獣界を。
神王と呼ばれるものは神界を。
覇王と呼ばれるものは人界を。
六王たちは互いに、世界の覇者となるべく六世界の統一を目指した。これは『六王対戦』と呼ばれる最古の戦争である。
しかしながら、人種でありながら、六王に戦いをしかけた男がいた。その男は、全ての王に勝利をし、王たちを配下につけ、世界をひとつに統一した。
この男を伝説では、『英雄王』7人目の王と呼ぶ。
そんな夢物語を、俺、ランク=アインメルトは幼い頃よく聞かされた。今の世界は、人族と魔族が世界を支配するために争う戦争が起こっている。
こんな伝説が本当ならば、「英雄王様どうか助けに来てください」と、俺は喜んで土下座しよう。
なぜなら、魔族の王である魔王討伐のため、15歳になった父と母は、国の法により冒険者となり、最前線で戦っていたという。母は25の時に俺を産み、その後、村の人間が2人の戦死の報告を聞いたのは1ヶ月も経たないうちであったからだ。
というのも、魔法王が支配する現世界の人族の統一国『アンスラル魔法国』は、世界統一のため『齢15を迎えた健全なる男女を成人とし、魔法王様の元、冒険者として魔王討伐の天命を授ける』といった馬鹿げ法律を作り上げたのだ。
しかし、俺たちはそれに逆らえない。それが、天命。魔法王様の意思だからだ。
絶対にこの世界を変えてやる。全てを守る。守り切って全てを壊す。
この物語は、そんな俺。この理不尽な世界を憎むランク=アインメルトの物語である。